ドローン恐怖症()との闘い

キーウとテキサスの狭間で
@mimei_maudet
Journal : 2022/04/07

 ときどき、こんなことを思うのです。もしも自分が演習を口実にウクライナに送りこまれてしまった22歳のロシア人の兵士だとして。ウクライナ国防省情報総局が先日公開したこのような戦犯リストには掲載されるような犯罪には手を染めずにいられることで、まだまともな未来を思い描けるだけの運には恵まれていたとして。しかし、ある日の朝にドローンの自爆攻撃によって幼いころから仲の良かった同郷の友人のひとりを失ってしまったとして。どこかのタイミングで戦意を失いウクライナ国籍と120万円分の報酬(その一部は私のなけなしのビットコインの寄付でもある)と引きかえに投降を決意したとして。それから12年後にもまだ、幸いなことに、ウクライナでつつましい市民生活を送ることができているとしよう。そんな2034年にはAmazonやUberの配達員の姿は消えていて、かわりにドローンが町を行き交っている。そのせいで、34歳になった私は、ドローンを見かけるたびに心拍数があがり、脂汗がにじみでるので、ついには引きこもってしまうことになる。平日の朝からそんな妄想をしつつ次の二つの記事をながめていました。

軍事用の特注ドローン製作する愛好家たち ウクライナ(AFP)
グーグル兄弟会社Wing、ドローンによる配達をテキサス州ダラス近郊で開始へ

 一方はウクライナのドロオタたちがドローンを戦争用にカスタマイズするというもので、もう一方はGoogle系列の企業がドローンにおよる配達の実用化を果たしたというものです。これを読みながら、私は自分自身のドローンへの嫌悪感はどこからくるのだろう、と首をかしげたのでした。搭載されているのが銃であれ爆薬であれカメラであれAmazonの配達物であれ、ドローンがそこにいるだけで何かを深く侵害されている、というような気持ちがそこはかとなくするのです。ドローンはその商業化以来さまざまな問題の種、規制の対象になりつづけていますが、これからもドローンをめぐる議論は継続してなされてゆくでしょう。そして、ゆくゆくは公害問題の一つとしてもうすこし一般的な議論の枠組みのなかで取り扱われることになるだろうし、鳥獣愛好家たちからのクレームも蓄積して町の鳥の権利といった問題にも波及するはずです。
 しかしよく考えてみると、私にとってドローンの存在そのものが目障りであるように、動物たちにとっては私のような人間の存在そのものが目障りである、のかもしれない。このような反省とともにあらためて2034年の空を覆い尽くすドローンを見上げてみると、自分自身の小ささやひ弱さ対してもっと謙虚になるべきなのだとも思うのでした。