オープン型イヤフォンがベビー用ウサギに

@mimei_maudet
Journal : 2022/03/29

 遅かれ早かれ自分は視力を失ってしまうことになるのだろうなあ。なぜか一時期、そんな諦念ともつかない予感に苛まれながら日々を過ごしていたことがありました。今ではそのようないわれのない前途の暗さを感じることも少なくなったのですが、そのときに身に着けた習慣の一つはいまも残っています。本を聴く習慣です。読んでくれる人の声さえあれば、失明した後になっても本を楽しむことができる。英語の書籍が主になるのですが、最近はさまざまなオーディオブックが気軽に購入できるようになりましたし、本はこれからもますます聴覚メディアとしての存在感を増してゆくことでしょう。
 私は家で音楽を聴くときは大きなスピーカーを使うようにしています。が、オーディオブックの場合は事情が違います。というのも、私の場合、スピーカーではけっして本を聴くことができないのです。等身大の人間に語りかけられている感じが少しもしない、というか、巨大な声のおばけに言葉を浴びせかけられているような気がしてしまうのですね。そのためもっぱらイヤフォンを通して聴いているのですが、特に風通しのよいオープンイヤー型のものを好んで使っています。

 このXperia Ear Duoシリーズは、やや人目を引くこと、ときどき外部の騒音に音負けすること、そして簡単に壊れてしまうことを除けば、とても優れたイヤフォンでした。「でした」というのは、つい先日、まさにいとも簡単に壊れてしまったのです。そのときはじめて、それが生活に欠かせないものになっていたことに気づき、すぐにも新しいものを買いもとめることしました。そのときAmazonでポチってしまったのが、Sonyの新製品、Linkbuds。

 オープンイヤー型であるのはXperia Ear Duoと同じですが、さして人目を引くともないし構造的に壊れにくくなってもいるのがポイント。イヤフォンとしては割高な買い物になってしまいましたが、オープンイヤー型に慣れたら最後、密閉型のものをつけているだけで妙にむし暑いような心地悪さを感じるまでになってしまったのです。
 そういうわけで、自宅に配送されるのを今や遅しと待っていたのですが、フランス在住の私は、Amazon.co.jpではなくAmazon.frからの配送を待つことになります。そして、やはりここに大きな違いがあったのでした。Amazon.frはちゃんとオチをつけてくれるようにできています。配達員の手から奪うように受けとった小包をエレベーターのなかで開けてみると、待望のイヤフォンの身代わりとして中に封入されていたのは、あろうことか静かに笑いかけるウサギさんの描かれたベビー用のウェットティッシュだったのです。

 大した使い道は思いつかずにいるのですが、もしかしたらウサギの耳掃除くらいには使えるかもしれません(適当)。