ことば稼ぎ考

@mimei_maudet
Journal : 2022/03/28

 ことばを稼ぐ。「紡ぐ」ではなく「稼ぐ」。貧乏のあまりに思いついた煽り文句です。お金を稼ぐでも、ことばで稼ぐでもなく、ことばを稼ぐ。そんなことが可能なのか。思えば、お金を稼ぐとはどういうことなのかさえ自分は知らないというのに。
 稼ぐ=モノ(資産)を所有し蓄積する? そう考えるのは思いこみで、金銭のやりとりというのは債権・債務関係に基づくコミュニケーションの一つだという人がいました。この人に倣えば、言葉もやはり、金銭と同様、所有も蓄積もできそうにない。なにより言葉も金銭も、根本的には「持て余す」ほかないものであるような気がするのです。
 そうだとすれば、そもそも「お金持ち」とは、どういう状態なのでしょうか。お金が集まったり流れたりする場所に身を置く、ということ? 経済=エコノミーというものを一つのネットワークに見立てるのなら、そのネットワークのなかで中心的な位置を占める、ということにでもなるのでしょうか。
 こんな妄想をするうちに「お金持ち」ならぬ「ことば持ち」や「ことばのエコノミー」のということについて考えるようになったのでした。ことばを所有することは誰にもできませんが、上述のような意味で「ことば持ち」になることはできるかもしれない。そういえば、折口信夫も天皇のことを「御言持ち」と呼び、そのメディアとしての側面に光を当てようとしたのでした。自分はきっとまだ、ことば稼ぎの恐ろしさを知らずにいる、そんな幸福の渦中にいるのかもしれない。