資本と物語と戦争と

ウクライナとともに流動化してゆく私達
@mimei_maudet
Journal : 2022/03/27

 戦争がはじまってから一月が経とうとしています。振り返ってみると、開戦の直前にロシアとウクライナがともに暗号通貨の合法化に踏み切ったことが、結局のところ多くの出来事の伏線になっていた、と今さらながらに気づくのです。ルーブル建てのビットコインが暴騰し史上最高値をつけるなかで金融制裁逃れに暗号資産が利用される一方、ウクライナは暗号通貨での寄付を募りはじめた。いわゆる「エアドロップ」による見返りを求めた人々(かくいう私もこのときETHを寄付)も殺到し、またたくまに資金が集まった。使途の内訳は、3月7日の時点では次のようになっていた模様です。

 この中にはロシア兵の買収費用も含まれていたのかもしれません。というのも、ウクライナ軍に投降したロシア兵には日本円にして約500万円を配給するというキャンペーンがこのころには始まっていたのですから(そして、いまなお続いているのかもしれない)。そう考えてみると、現在では戦争への参与がいかに簡単になったことか。あるいはもうすこし見方を変えていえば、いかに簡単に戦争に巻き込まれてしまうようになったことか。ウクライナはTelegramのIT Armyを始め市民の力を積極的に利用する策を様々な形で展開してきました。しかしそもそもそれ以前に、ウェブ上の日々の行動のひとつひとつがいかに簡単に戦況と結びつくようになってしまったことか。SNSが戦争の現場に直結している、というより、SNSがそのまま戦場になってしまっているような印象を受けるのです。
 そんななかで、ウクライナ政府は「Meta History : Museum of War」なるウェブサイトを立ちあげました。戦争のタイムラインを作った上で、各局面をNFTにして販売し(おそらくは)売上の一部を戦費にあてる、というものです。すでに終わった戦争ではなく、現在進行形の戦争を表象し、それをまさに戦争のための武器にするウクライナ。

 ここで興味深いことが一つ。物語はNFTという「もの」として商品に転じることによって、経済的な意味での資本と結びつき、力を発揮する。ここでは、戦争は投機の対象である、というか、投機こそ戦争、あるいは戦争こそ投機である、ということがとても身も蓋もない、わかりやすい形で示されているような気がするのです。いまだかつてなく流動化し戦争という資本=物語の動きに動員されてゆく私達。ぷーちんに中指を突きたてるうちに大きな罠にはまり抜け出せなくなる。