
あの寒々とした春に置き忘れてきた言葉たちよ。
04/05 花散るを待っていたのかこうのとり
04/04 木漏れ日に瞼をさされて身を起こす
03/23 ごみ箱をそこまで出たいか歯磨き粉
03/22 雀の巣子の行列に息殺す
03/21 この春もコロナに乗じて巣作りか橋のたもとにつがいの白鳥
03/20 ぽかぽかの身を固くして牡丹餅
03/20 うたどりの夜啼に醒めてゆく意識
03/19 金魚鉢見下ろすお前が濁ってる
03/18 金魚鉢紅一点の怒りかな
03/17 おしなべて覇気のたりない黄水仙
03/17 したしたと漏れ落つ雨に肩狭し
03/17 帰宅後の無人の家に鬼ひとり
03/17 招かれざる金魚と私春の客
03/16 トヨダ氏の牛耳るトヨタ市の車
03/15 巣作りをするうたどりよいつ歌う
03/21 打たれたる踊り字たちの身の狭さ
03/21 どつきあう鳩らの陰で芽吹く梅
03/11 失ったラジオの周波あわぬ朝
03/09 一羽二羽茶に招かれる蝶涼し
03/08 ふやけたると思いし紙のふわり舞う